こんにちは、管理人のきせつです。
今回は「孤独のグルメ」〈著者原作:久住昌之 原画:谷口ジロー〉
の感想を書いていこうと思います。
以下の4つの項目で書いていきます。
1行あらすじ
個人で貿易商を営む中年男性「井之頭五郎」が孤独に食事を楽しむ。
読んだ理由
ドラマ版を見て読んでみようと思いました。
感想
初掲載が30年前(1994年)ということもあり、街中での描写に懐かしさを覚えるシーンも多かった。
メインになっている食事のシーンに関しては、主人公の五郎が下戸ということもあり酒は出てこない。
おいしそうな描写だが過度な表情や演出はなし。
慣れた店の登場はほとんどなく初見での店選びから始まり店内や他の客を観察し、
どういった料理を注文するかという見知らぬ土地での店選びをしたときの気持ちに共感してしまう。
好きな話を挙げるとすると「豆かん」と「焼肉」の話である。
豆かんの話では五郎が下戸というのが判明し、甘党と思われ客に勧められた甘味屋で豆かんを食べるという話なのだ。
デザートの前に雑煮などの腹ごしらえを算段を立てていたのに、
発売前の為「がーんだな…出鼻をくじかれた」とショックを受けた有名なモノローグも登場する。
店の和やかな雰囲気と算段のしくじりはしたけれど、おすすめされた本命はおいしいという何とも言えない空気感が好きな話になっている。
焼肉回はシンプルにひたすら五郎が1人で焼肉を食べ続ける。
今まで店の空気や客を観察していたのにそういった事を排除してひたすら焼く・食べる・追加注文という流れが1人で食べる焼肉という単純さに勢いを感じてとても好きだ。
仕事前ということと五郎が下戸なので酒は頼んでいないが私ならビールやハイボールを頼むだろうなと焼肉欲をとても刺激される強さがある。
つい加減を間違えて食べ過ぎるというのも焼肉あるあるで落ちにも笑える。
作中で気になっているのが「動きとセリフがない視線のコマ」である。
多様される演出ではない。
その少ないコマが目線の動きで周りと違う異質を表現していて「孤独」を表現するコマで印象に残っている。
五郎が不安そうに店を見たり、他の客が一見さんや見知らぬ男に対する警戒心を表していると思う。
あちこちを飛び回る男の過ごし方の一面を映しているように見える。
最初に見たドラマ版との違いとしては漫画の方がやや五郎が地味な印象を受ける。
服装などは大きく変わらないし、セリフ回しもそこまで変わっているわけではないのだがマンガのページ数とドラマの尺の中でのセリフ量と食事量の差がそんな印象の違いを生み出しているかもしれない。
おわりに
連載当時よりも現在の方が孤独とあるような一人飯が一般的に受け入れられるのではないだろうか。
作中で恋仲の女性との過去が度々登場するが五郎にとってそれは既に思い出であり、目の前の空腹と食事の方が重要なのである。
五郎は食事中の表情の一つ一つに食べる喜びを見せてくれる。
白米の旨さ、知らない料理、久々に食べる懐かしい味など様々な食の体験があるが食事の喜びとはついつい顔に出てしまうものかもしれない。
普段「孤独」という言葉はネガティブで寂しさを感じるがこの作品においては孤独とは自由もしくは解放も含めた意味していると私は思う。
以上を読んでみて気になった方はぜひ一度読んでみて欲しい。
それにしても腹が減った。何を食べよう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 きせつ
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